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2025/12/10

剣岳(点の記)

 

新田次郎の小説『剣岳 点の記』は、日露戦争直後の明治40年、日本地図完成のため

「神の山」と恐れられ前人未踏だった剣岳(つるぎだけ)の山頂に三角点を埋設する

命令を受けた測量官・柴崎芳太郎率いる測量隊の過酷な挑戦を描く山岳小説です。

険しい悪路、悪天候、重い測量機材の運搬、地元の反発、そして日本山岳会の

初登頂との競争に直面しながら、命懸けで山頂を目指す男たちの姿と、

日本人の魂を映し出す物語です。

 

「点の記(てんのき)」とは、地図作成や測量の基準となる

「三角点」や「水準点」などの「基準点」を設置した際の詳細な記録のこと、

点名、所在地、設置年月日、測量方法、周辺の略図などが記された公文書です。

 

昔の人のこういった苦労があって、今の測量の礎になっているのだなと、

しみじみと感じながら読み進めていきました。

新田次郎さんの本は『八甲田山死の彷徨』から読み進めてきましたが、

山の情景などがリアルに表現されていますので、自然大好きな方には

お勧めします。