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2025/9/9

「カフネ」は、手料理や家事代行サービスという日常的な題材を通して、
現代社会の人間関係の希薄さや他者との距離感を浮き彫りにした作品です。
作中では、主人公・薫子の手料理が、彼女の心の拠り所であると同時に、
他人とのつながりを求める手段として描かれています。

 

また、家事代行サービスの存在が、家庭の形や役割分担の変化、
そして「人に世話を頼むこと」への意識の変化を象徴しており、
現代の世相を的確に反映している点が印象的でした。

物語の終盤、薫子が見せる独りよがりで思い込みの激しい行動は、
人との関係を築くうえでの「自己投影」の危うさを感じさせられます。
自分が思う「やさしさ」や「愛情」が、必ずしも相手にとって
心地よいものとは限らない
――そうした複雑な感情を読み手に投げかけてきます。

 

この作品を通して、自分本位な親切が時に人を傷つけること、
そして本当の思いやりとは何かを改めて考えさせられました。