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2025/7/2

『虚の伽藍』
日本仏教の闇とそこに潜む権力構造を赤裸々に描き出した、衝撃的な作品です。
主人公・志方凌玄が、理想と現実の狭間で葛藤し続ける姿は、心に強く刻まれます。
一般的に仏教といえば、「悟り」や「静寂」といった穏やかなイメージが先行します。
しかし、この作品ではそのイメージを覆し、京都の裏社会を舞台に、
暴力団、フィクサー、財界、官僚といった魑魅魍魎が入り乱れる生々しい現実が描かれています。

 

特に印象深かったのは、凌玄自身が理想だけでは立ち向かえない現実に直面し、
次第に「悪」に手を染めていく姿です。僧侶でありながら、まるで政治家や実業家の
ように権謀術数を駆使する彼の姿は、人間の矛盾や弱さをリアルに浮き彫りにしており、
深い問いを投げかけます。

 

この作品は、仏教という枠組みを超え、現代社会の腐敗、組織の闇に
ついて鋭く掘り下げています。
仏教や社会問題、組織の構造、人間の欲望と矛盾に興味がある方には、
ぜひ手に取っていただきたい一冊です。