滋賀県土地家屋調査士会業務研修会に参加
2025/10/21
今回の研修では、「官民境界確定事務」について、近年の法改正や各省庁からの通達を
踏まえた最新の動向を学ぶことができました。従来の官民境界確定協議は、
民法上の所有権界に関する和解契約としての性格を有しつつ、公的な存在である
筆界の位置を相互に確認するという二重の側面を持っていました。
そのため、手続においては法定相続人全員や共有者全員の関与が不可欠であり、
実務上も慎重な対応が求められてきました。
しかし、令和3年の民法改正(令和5年施行)をはじめ、法務省・財務省による
関連通達の改正を経て、筆界確認手続の円滑化・迅速化が大きな潮流となっています。
特に、法務省の「筆界確認情報の取扱い指針」や「不動産登記事務の取扱い通知」では、
境界確認のあり方がより明確に整理され、官民双方の手続負担を軽減する方向へと
進んでいることを実感しました。
これまでの形式的・慎重な手続から、実務の合理化・効率化を重視する時代へと
移行しつつある中で、私たち土地家屋調査士もその変化に柔軟に対応していく必要があります。
官民境界確定事務の簡素化は、単なる手続短縮にとどまらず、公共性を損なうことなく、
より現実的で迅速な境界確定を実現するための重要な一歩だと感じました。
今後は、最新の法令・指針を踏まえたうえで、行政機関や関係者との連携を強化し、
より信頼性の高い境界確定業務を推進していくことが、私たち専門職の責務であると
改めて認識しました。
まさに今が、官民境界確定事務の簡素化に向けた実務取扱いの転換期であるといえます。
